改善事例 学校法人江西国際学園への申入れ
1 申入れの内容
アブロードインターナショナルスクール名古屋校においては,サタデースクールの規約において,自然災害などでレッスンが中止になったとしても,振替レッスンや返金は行わないなどの条項が使われていました。
アブロードインターナショナルスクール名古屋校は,学校法人江西国際学園に営業譲渡されたため,同法人に対し,利用規約の修正を求めました。
2 規約の問題点
⑴ 「自然災害(地震,洪水,台風,大雨,大雪など)の警報・注意報発令時や悪天候時など,臨時休校となる場合,朝8時までにメールにてご連絡いたします。振替レッスンや返金は致しかねますのでご了承ください。」
自然災害など会社及び会員の双方に責めに帰することができない事由により臨時休校となった場合には,会員は反対給付であるレッスン費用等の支払を拒むことができるにもかかわらず(民法536条1項),上記規約は,会員への返金をしない旨定めていますので,消費者の権利が一方的に制限されており,消費者契約法10条に違反し,違法と考えます。
当団体が申し入れを行ったところ,振替レッスンや返金は行わない旨の文言が削除されました。
⑵ 「コース変更および休学・退学は,希望月の前月5日までにメールにて学校へご連絡ください。退学届は書面にてご記入いただきます。期日を過ぎてからのご連絡は,翌々月での退学・休学となります。」,「月途中(スクールカレンダーをご覧ください)での退学,休学,コース変更はできません。」
英会話の指導を行う会社と会員の関係は準委任契約類似であるところ,月途中での退学,休学などができないとされていることから,会員の退学,休会申出の効力発生時期は,希望月の末日(希望月の前月5日を超えている場合は,翌月末日)と考えられるところ,月途中での退学申出により損害の発生は観念できず,退学,休学の希望月の前月5日を超えた場合に,退学,休学の効力発生時期を翌月末日とする合理的な理由もないため,上記規約は,民法と比して消費者の権利を制限するとともに義務を加重する条項として,消費者契約法10条に違反し,違法と考えます。
当団体が申し入れを行ったところ,月途中での退学,休学,コース変更はできない旨の文言が削除されました。
⑶ 「お支払いいただいた料金(入学金,年間維持費・サポート費,レッスン料,教材費等)は,いかなる場合でも返金致しかねますのでご了承ください。」
解除や退学申出が,入学後まもない時期になされた場合は,会社に発生する損害は想定できないにもかかわらず,上記規約は,解除の事由や時期等を限定する文言が定められておらず,解除事由や時期等にかかわらず一律に返金しない扱いと考えられますので,会社に生ずる平均的損害を超える違約金等を定めるものとして,消費者契約法9条1号に違反し,違法と考えます。
当団体が申し入れを行ったところ,該当の文言は削除されました。
3 申入れの結果
学校法人江西国際学園は,当会の申入れを受け,規約の修正を行いました。
消費者の利益を害するような条項が用いられている場合には,お近くの消費生活センター等に相談に行ってみることをおすすめします。
以上