改善事例 サントリーフーズ株式会社への申入れ
1 問題のある規約やホームページについて
⑴ 所有権放棄条項について
顧客の都合で商品(天然水)を受け取らない場合,商品の所有権を放棄したものとみなすとされていた。
⑵ 中途解約手数料条項について
定期配送を中途解約した場合,以下の中途解約手数料が一律に必要とされていた。
・2年プラン,たっぷり2年プラン:20000円(税込み22000円)
・3年プラン:23000円(税込み25300円)
・5年プラン:25000円(税込み27500円)
⑶ 違約金条項について
本契約終了後,顧客が機材の返還に応じないときや顧客の所在が不明である等の顧客が機材を返還できないと会社が認めるときは機材1台あたり違約金30000円を支払うこととされていた。
⑷ ホームページについて
最終確認画面において,購入代金総額などが表示されていなかった。
2 規約などの問題点について
⑴ 所有権放棄条項について~消費者契約法10条違反~
規約は,売買契約が成立した場合には,天然水の所有権は購入者にあるにもかかわらず,購入者の天然水の所有権を放棄したものとみなすものであり,消費者の権利を制限するものであり,かつ,信義則に反して消費者の利益を一方的に害するというべきであり,消費者契約法第10条に違反して無効です。
⑵ 中途解約手数料条項について~消費者契約法9条1号違反~
規約は,解約する時期にかかわらず一律に解約手数料が発生することになっており,1回の水の購入代金が4050円とされていることからすると,少なくとも契約期間満了の4ヶ月前の解約については,水の購入代金1万6200円を超える違約金が発生することになっており,平均的な損害を超える定めがされていることは明らかであるから,規約は消費者契約法第9条第1号に違反し無効である。
⑶ 違約金条項について~消費者契約法9条1号,10条違反~
本契約が5年ほど継続した場合などは,機材(ウォーターサーバー)の価値は相当程度減衰しているにもかかわらず,契約終了の時期などにかかわらず違約金を一律に3万円と定める規定は,平均的な損害を超える違約金の定めであり,消費者契約法第9条第1号に違反して無効である。
また,本規約は,契約期間が満了した場合において,契約期間の年数にかかわりなく違約金を一律に定めており,機材(ウォーターサーバー)の価値が相当程度減衰している場合であっても,一律に違約金を支払う必要があり,会社に現実の損害が発生していない場合であっても,機材代金として3万円を請求するものである。これは,民法の規定に比して消費者の義務を加重するものであり,かつ,信義則に反して消費者の利益を一方的に害するというべきであり,消費者契約法第10条に違反して無効である。
⑷ 最終確認画面について~特定商取引法第12条の6第1項第2号違反~
定期配送は,1回の配送につき4050円が最低でもかかり,2年ないし5年の定期購入の場合の最低購入金額は決められているのであるから,最終申込み画面において,商品の購入代金の総額(特定商取引法第11条1号)や,購入する期間(同条3号)などを具体的に表示する必要がある。
それにもかかわらず,最終申込み画面には,購入期間や購入代金総額が記載されておらず,特定商取引法第12条の6第1項第2号に違反している。
3 申入れの結果
サントリーフーズ株式会社は,当会の申入れを受け,問題のあった規約を修正し,または,削除しました。また,最終確認画面においても,購入代金総額などのページが追加されました。
消費者の利益を害するような条項が用いられている場合には,お近くの消費生活センター等に相談に行ってみることをおすすめします。
以上