活動紹介

1 問題のある約款

プロバイダーサービスを行う株式会社Twelveの契約約款、会員規約、重要事項説明書に、約款を変更した場合、当然に変更後の約款が適用されるとの条項、紛争が生じた場合の管轄裁判所を事業者の本店所在地を管轄する裁判所を専属的管轄裁判所とする条項、事業者によるサービスの中止等によりサービスを利用することができない状態が生じたときも、利用者が代金支払義務を免れないとする条項、損害賠償義務を原則負わない条項、損害賠償を制限する条項、損害賠償義務を免除する条項、会員資格喪失後の利用料不返還条項、サービスの提供によって生じた損害については事業者が一切責任を負わない条項、中途解約に際し、一律に違約金の支払義務を定める条項に対し、以下のとおり、改善の申入れをしました。

2 申入れ内容

(1)民法548条の4第1項は、約款を相手方との合意なく変更できる場合を、定型約款の変更が相手方の一般緒利益に適合するとき、変更が契約をした目的に反せず、かつ、変更の必要性、変更後の内容の相当性、民法の同条の規定によって定型約款の変更をすることがある旨の定めの有無及びその内容その他の変更についての事情に照らして合理的なものであるときに限っています。ところが、株式会社Twelveの約款、規約では、利用者との合意がなくても当然に変更後の約款が適用される旨定めていました。そこで、民法548条の4第1項に適合するように改めることを申し入れました。

(2)消費者契約法10条は、法令中の公の秩序に関しない既定の適用による場合に比して消費者の権利を一方的に害するものは無効と定めています。ところが、株式会社Twelveの約款、規約では、事業者と契約者との間に紛争が生じた場合に関する訴訟について、株式会社Twelveの本店所在地(東京)を管轄する裁判所を専属的合意管轄裁判所とする旨定めていました。しかし、これでは、契約者が著しい不便、不利益を強いられるため、消費者契約法10条を根拠に、同条項を削除することを申し入れました。

(3)株式会社Twelveの約款では、理由のいかんを問わず、事業者がサービスの全部または一部を廃止できる旨定めていました。しかし、この規定は、事業者の一方的都合により消費者の地位を不安定にするものであるので、消費者契約法10条を根拠に削除することを申し入れました。

(4)消費者契約法8条1項1号は、事業者の債務不履行により生じた消費者に対する損害賠償責任の全部を免除する規定を無効と定めています。ところが、株式会社Twelveの約款では、事業者がサービスを停止した場合に契約者に対し、理由のいかんを問わず、一切の責任を負わない旨定めていました。これは、事業者の債務不履行により生じた消費者に対する損害賠償責任の全部を免除するものです。そこで、消費者契約法8条1項1号により削除することを申し入れました。

(5)株式会社Twelveの約款では、保守等のためサービスが利用できない状態が生じたときであっても、契約者がその期間中の利用料金等の支払を要することを定め、また、事業者の責によらない事由により契約者がサービスを利用できない場合であっても利用料金の減額等は行わない旨定めていました。しかし、双方の責によらない事由によりサービスが提供できない場合、消費者は代金支払義務を負わないのが民法の原則で、上記各条項は、消費者に一方的に不利益を課すものです。そこで、消費者契約法10条を根拠に削除することを申し入れました。

(6)株式会社Twelveの約款では、事業者がサービスの提供を中止した理由、原因が事業者の責による場合を含め、サービス中止により契約者が被った損害につき一切賠償責任を負わない旨定めています。そこで、消費者契約法8条1項1号を根拠に、サービスの提供の中止の原因が事業者の責による場合には除外する旨の文言を加えるよう申し入れました。

(7)株式会社Twelveの規約では、事業者の責によらずにサービスが提供できなかった場合に、一切責任を負わない旨定めていました。しかし、双方の責によらない事由によりサービスが提供できない場合、消費者は代金支払義務を負わないのが民法の原則で、上記各条項は、消費者に一方的に不利益を課すものです。そこで、消費者契約法10条を根拠に削除することを申し入れました。

(8)株式会社Twelveの規約では、利用者がサービス利用により得た情報に起因して生じた一切の損害について事業者が責任を負わない旨定めていました。しかし、これは、事業者の損害賠償義務の全部を免除するものです。また、損害につき事業者に帰責事由がある場合には、事業者が損害賠償義務を負うのが原則であり、上記規約はこれを一方的に消費者に不利に変更するものです。そこで、消費者契約法8条1項1号、10条を根拠に削除することを申し入れました。

(9)株式会社Twelveの規約では、約款、規約に定める以外、事業者が一切損害賠償責任を負わない旨定めていました。しかし、これは、事業者の損害賠償義務の全部を免除するものです。また、損害につき事業者に帰責事由がある場合には、事業者が損害賠償義務を負うのが原則であり、上記規約はこれを一方的に消費者に不利に変更するものです。そこで、消費者契約法8条1項1号、10条を根拠に削除することを申し入れました。

(10)消費者契約法8条1項2号は、事業者の故意又は重大な過失による債務不履行により消費者に生じた損害賠償責任の一部を免除し、または事業者にその責任の限度を決定する権限を与える条項を無効と定めていました。ところが、株式会社Twelveの約款では、事業者の責による事由によって契約者がサービスを全く利用できない場合の事業者の損害賠償につき、事業者が利用不能状態を知ってから48時間以上その状態が継続した場合に限定し、24時間未満は切り捨てるとともに、事業者の責に帰さない事由による損害、事業者の予見の有無を問わず特別の事情から生じた損害、逸失利益を含む間接損害については事業者が損害賠償責任を負わないとする旨定めています。しかし、この規定は、上記消費者契約法8条1項2号に抵触する上、事業者の責任を一方的に限定するもので、消費者の権利を制限するものです。そこで、消費者契約法8条1項2号、10条に適合するよう改めることを申し入れました。

(11)株式会社Twelveの約款では、事業者の契約者に対する損害賠償の方法として、事業者の選択により将来の利用料から損害賠償額を減額する旨、サービスの使用権の付与による旨を定めていました。しかし、これは、民法の金銭賠償を原則を消費者に一方的に不利に変更するもので、消費者の被害回復を困難にするおのです。そこで、消費者契約法10条を根拠に削除することを申し入れました。

(12)株式会社twelveの約款では、事業者の契約者に対する損害賠償金額につき、事業者が電気通信役務に関し当該登録電気通信事業者又はその他の電気通信事業者から受領する損害賠償額を限度に制限する旨定めていました。しかし、事業者に故意または重大な過失がある場合も含めて損害賠償額を制限するものである上、民法の損害賠償の範囲を消費者に不利に変更するものでもあります。そこで、消費者契約法8条1項2号、消費者契約法10条を根拠に削除することを申し入れました。

(13)株式会社Twelveの約款では、事業者の契約者に対する損害賠償金額につき、損害賠償の対象となる契約者が複数いる場合に事業者が負う金額の合計を事業者が受領する賠償額を限度として按分する旨定めていました。しかし、、事業者に故意または重過失がある場合についても含めて損害賠償額を制限するものである上、民法の損害賠償の範囲を消費者に不利に変更するものでもあります。そこで、消費者契約法8条1項2号、消費者契約法10条を根拠に削除することを申し入れました。

(14)株式会社Twelveの約款では、事業者が利用者に対して負う損害賠償義務に関し、本約款で特に定めがある場合を除き、故意又は重過失がない限り1か月分の利用料金超えて責任を負わないと定めていました。しかし、これは、民法の原則を消費者に不利に変更し、損害賠償の金額を著しく低額に限定するものです。そこで、消費者契約法10条を根拠に削除することを申し入れました。

(15)株式会社Twelveの約款では、データ等が消失した場合や改ざんされた場合の事業者の責任につき、技術的に可能な範囲でデータ等の復旧に努めるものとし、その復旧への努力をもって、消失又は改ざんに伴う契約者又は他社からの損害賠償の請求を免れる旨定めていました。しかし、これでは、事業者の損害賠償の全部を免除することになり、また、民法の損害賠償の範囲を消費者に著しく不利益に変更するものです。そこで、消費者契約法8条1項1号、10条を根拠に削除することを申し入れました。

(16)株式会社Twelveの約款、規約では、事業者が、契約者がサービスを利用することにより第三者との間で生じた紛争等に関して、一切責任を負わず、また事業者が相手方とされた場合、消費者がその処理費用の負担も含め事業者の全損害を賠償する旨定めていました。しかし、これは、事業者の損害賠償義務の全部を免除するものですし、消費者が第三者より損害賠償等を請求された場合でも、事業者に帰責事由がある場合には、事業者がその程度に応じ責任を負うのが民法上の原則です。また、事業者が訴訟の相手方とされた場合に、その訴訟に掛かる費用や損害は事業者が負担するのが法律上の原則であり、消費者は、法律上責任があるときに限り、その責任程度において負担する義務があるに過ぎないのが原則です。上記条項は、この原則を消費者に一方的に不利益に変更するものです。そこで、消費者契約法8条1項1号、10条を根拠に削除することを申し入れました。

(17)株式会社Twelveの規約では、会員が資格を喪失した場合、事業者は会員が支払った利用料金等につき、サービスを受けていない部分について一切返還しない旨定めていました。しかし、これは、消費者への損害賠償の全部を免除することになりますし、会員資格を喪失した場合に、いまだ受けていないさ―ビスについての料金の支払義務はなく、支払済みの場合には返還請求できるのが民法の原則であり、上記条項はこれを消費者に不利に変更するものです。そこで、消費者契約法8条1項1号、10条を根拠に削除することを申し入れました。

(18)消費者契約法9条1号は、消費者契約の解除に伴う損害賠償の額を予定し、又は違約金を定める条項であって、これらを合算した額が、当該条項において設定された解除の事由、時期等の区分に応じ、当該消費者契約と同種の消費者契約の解除に伴い当該事業者に生ずべき平均的な損害の額を超えるものについて、その超える部分を無効と定めています。ところが、株式会社Twelveの重要事項説明書では、契約期間中の解約につき、一律に解約金を請求する旨定めています。しかし、中途解約により特に解約の手続に掛かる実費等の負担が増えるとは考えられませんし。特に、事業者が定める契約解除料は、コースにより、一定の時期が経過した以降の解約につき、36か月の期限まで契約を継続した場合と比べ支払総額が多くなるものであり、明らかに事業者の平均的損害を超えているものと考えざるを得ません。そこで、解約金を平均的損害の範囲内とするよう改訂するよう申し入れました。

3 申入れの結果

(1)については、民法548条の4第1項に適合するように改められました。

(2)については、改善されませんでした。

(3)については、末尾に「なお、この場合には利用者に不利益が被らないように、然るべき措置をとるものとします。」との条項が加えられました。

(4)については、末尾に、「ただし、当社に故意または重大な過失がある場合には、この限りではありません。」との条項が加えられました。

(5)については、削除されました。

(6)については、削除されました。

(7)については、削除されました。

(8)については、削除されました。

(9)については、削除されました。

(10)については、末尾に、「ただし、当社に故意、または重大な過失がある場合にはこの限りではありません。」との条項が加えられました。

(11)については、「前項により当社が損害賠償を負う場合、当社は、後に請求する本サービスの利用料から賠償額に相当する金額を減額するものとします。なお、契約者が本サービスを利用してない場合はこの限りではありません。」と改められました。

(12)については、末尾に、ただし、当社に故意、または重過失がある場合にはこの限りではありません。」との条項が加えられました。

(13)については、末尾に、ただし、当社に故意、または重過失がある場合にはこの限りではありません。」との条項が加えられました。

(14)については、改善されませんでした。

(15)については、削除されました。

(16)については、削除されました。

(17)については、削除されました。

(18)については、解約金が月額利用料の1か月分に改訂されました。

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改善事例フォーム 株式会社Twelve

 

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