改善事例 タメニー株式会社に対する申入れ
いわゆる「スマ婚」ビジネスを展開し,披露宴や結婚式二次会のコーディネイト等をおこなうタメニー株式会社に対し,開催59日前以降のキャンセル料について定める条項について,平均的な損害を超える部分が存在する等として改善の申入れをしたところ,以下のとおり改善してもらうことができました。
結婚式二次会の中途解約条項
タメニー株式会社の主宰する結婚式二次会に関する条項について,下記の定めがありました。
記
契約締結後にパーティーをキャンセルする場合には,下記に定める所定の日数に応じた手数料を乙(注;タメニー株式会社)に支払うことで,パーティーのキャンセル申し入れ(以下,「解約申し入れ」という)をすることができます。
ちなみに,「プラン料金」とは,結婚式の二次会その他イベントの製作に係る対価の額であり,具体的には,当イベントにおいて一般的に必要となるサービス(参加費を保管する金庫その他の資材の準備,ビンゴ大会その他のゲームの開催に必要な資材及び景品の準備,イベントの司会にかかる業務など)の対価であり,「オプション料金」とは,イベントの製作にかかる対価のうち,主催者が注文したプランに含まれない主催者が個別に追加した場合の,追加されたサービスに対する対価の額とのことです。
ここで,消費者契約法9条1号をみると,本件のような消費者契約において,「当該消費者契約の解除に伴う・・違約金を定める条項であって,これらを合算した額が,当該条項において設定された解除の事由,時期等の区分に応じ,当該消費者契約と同種の消費者契約の解除に伴い当該事業者に生ずべき平均的な損害の額を超えるもの」について,当該超える部分の定めを無効としています。
タメニー社が使用する上述の条項によれば,利用者(消費者)が,たとえば開催45日前に解約した場合,「オプション料金」及び「プラン料金」の70パーセント以上もの違約金が発生することとなります。しかし,開催1月半前に解約があった場合,司会を含む当日の人件費,準備の必要がなくなった(あるいは流用可能な)資材や景品分など,支出(損害)を免れるものも多いと思われますので,「オプション料金」及び「プラン料金」の70パーセントもの損害が発生するとは思われません。
そこで,当団体は,令和3年12月21日,タメニー株式会社に対し,当条項を消費者契約法9条1号に沿う内容に改訂するよう,申し入れを行いました。
タメニー㈱に対する「申入書」等
申入れの結果
申入れの結果,タメニー株式会社から,段階的な違約金額に対応するキャンセルの時期区分について,開催日からどれくらい前の日付なのかという区分ではなく,(タメニー株式会社が)契約からどの程度の業務をおこなったかという区分とする形での改定をおこなうとの回答が得られました。
これにより,タメニー株式会社のおこなった業務を超えた分が違約金となることが明らかとなり,より実態に即した違約金徴求条項となりました。
消費者保護のためにはまだ改善の余地はあると考えられますが,業界としては画期的な試みと思われます。
タメニー株式会社には,最終的により消費者保護に沿う形に改訂いただきましたことを,この場を借りて厚く御礼申し上げます。
以上