改善事例 フィットイージー株式会社への申し入れ
■ 長期割引の落とし穴
・年間契約の割引
ここ最近、いろいろなサービスがサブスク(サブスクリプション:予約購読、定期購読、会費といった意)で提供されています。中には、価格が、月ごとの契約より年間契約の方が割安に設定されているものもあるでしょう。そうした中で、年間契約を途中で解約したところ、月ごとの料金の累積よりも割高になってしまうような違約金を定めていた事業者がありました。
・違約金の上限
消費者契約法9条1項1号は、「当該消費者契約の解除に伴う損害賠償の額を予定し、又は違約金を定める条項であって、これらを合算した額が、当該条項において設定された解除の事由、時期等の区分に応じ、当該消費者契約と同種の消費者契約の解除に伴い当該事業者に生ずべき平均的な損害の額を超える」条項の法的効力につき、「当該超える部分」を無効としています。
何が平均的な損害の額なのかは個別の事案ごとに考えていく必要がありますが、そもそも利用規約において、会員に対していつでも解約できるとしておきながら、前払した年間契約の会費は一切返還しないとか、年間契約で途中までしか支払っていない場合で解約後に到来する期間分の違約金を合計していくと、月額で支払った場合の合計額よりも高くなってしまうというのは不合理です。事業者は、期間途中の解約を認めており、そもそも解約されることを想定しており逸失利益は観念できませんし、仮に、観念するとしても、双務契約の対価関係がある範囲、つまり、月額で契約した場合に解約した月までの会費の合計額が上限になる筈です。
・問題事例と改善結果
あるスポーツジムでは規約に、1年間継続契約の会員が1年未満で退会した場合は、別途契約解除料を支払わなければなりません、といった条項を定めていました。そこで、消費者契約法9条1号に沿うように是正するよう求めた結果、1年間継続契約という制度や契約解除料は廃止され、退会する場合には、所定の期日までに所定の手続を行うことで当月末日の退会ができ、(退会月までの会費のほか)退会日までの諸費用を支払う、と変更されました。ほかにも、賠償責任の免責など、改善していただけました。