改善事例 一般社団法人日本自動車連盟(JAF)に対する申入れ
1 消費者からの情報提供
消費者から、一般社団法人日本自動車連盟(JAF)に対し、自身が被保佐人となったことを伝えたところ、被後見人又は被保佐人は会員資格喪失になると言われ、その場で退会届を書かされたとの情報提供がありました。
2 後見開始の審判等による解除権付与条項
JAFの会員規則及び定款には、成年被後見人又は被保佐人になったときには会員の資格を喪失するとの条項が規定されていました。
事業者における、消費者が後見開始、保佐開始又は補助開始の審判を受けたことのみを理由とする解除権を付与する消費者契約の条項は、同審判を受けた者の権利の擁護を目的とする成年後見制度の趣旨に抵触し、不当性が高いため、消費者契約法8条の3により無効となりますので、当団体は、JAFに対し、上記条項の削除を申し入れました。
申入れの結果、上記条項は削除され、JAFの会員が成年被後見人又は被保佐人になったとしても、会員資格を喪失することはなくなりました。
3 軽過失全部免責条項
また、JAFの会員規則には、JAFのロードサービスに起因する車両の損傷、人身事故について、JAFに故意又は重大な過失がない限りJAFは責任を負わないとの条項が規定されていました。
上記条項によれば、事業者が軽過失の場合には、債務不履行又は不法行為による損害賠償責任の全部が免除されてしまうため、消費者契約法8条1項1号・3号により無効になります。そのため、当団体は、JAFに対し、上記条項のうち「重大な過失」とあるのを「過失」と修正するか、同条を削除するよう申し入れました。
申入れの結果、JAFのロードサービスに起因する車両の損傷、人身事故について、消費者の生命・身体・財産に対して重大な損害が発生した場合及び金融機関による手続き上の不備や郵便事故等が発生した場合にも、JAFの故意・重過失のみならず、軽過失の場合もJAFが責任を負うという条項に改善されました。