事例報告 株式会社オー・ド・ヴィーウェディングに対する申入れ
~挙式・披露宴の解約料等に関する規約の是正~
1 「The Opera」が使用する挙式・披露宴に関する規約について、消費者から、契約した結婚式のキャンセル料が高額であるとの情報提供がありました。
2 申入れの内容
本規約を確認したところ、以下のような問題点が確認されたため、改定を行うよう申し入れました。
(1)解約料について
挙式・披露宴における解約料は、解約により事業者に生ずべき平均的な損害の額を超える場合にはその超えた部分が無効とされるところ(消費者契約法9条1項1号)、日本ブライダル文化振興協会が作成した「結婚式場・披露宴会場におけるモデル約款」の定めが参考になります。
本規約における解約料は、契約成立日から挙式日の365日前の間、挙式日より364日前から60日前の間、挙式日より29日前から前日の間においてなされた解約についての定めが、申入れ当時の上記モデル約款の定めを超えており、消費者契約法9条1項1号に反すると考えられました。
(2)解約の効力発生時期について
民法上、結婚式に関する契約のような準委任契約の解除については、各当事者がいつでも行うことができるものと定められており(民法656条、民法651条1項)、解約料の支払いは解除をするための要件としては定められていません。
それにも関わらず、本規約においては、「本契約の解約は、お客様のいずれか一方から解約の意思表示があり、かつ前項の解約料金全額が支払われた時点で完了します。」として、特に合理的理由なく解約料全額が支払われることをも解除の条件としています。このような条項は、民法651条1項の適用による場合に比して顧客の権利を制限ないし顧客の義務を加重する条項といえ、消費者契約法10条に反すると考えられます。
(3)その他、「当館とお客様との間で諸問題が生じ挙式・披露宴が滞りなく施行できないと判断した場合」でも顧客に発生した損害についての事業者の責任を全部免除するとの規定等について、消費者契約法8条1項に反すると考えられます。
3 申入れの結果
同社は、当団体に対して、本規約の修正を行った旨の回答をする一方で、修正後の規約については開示しませんでした。そのため、当団体は、同社との間で、約3年にわたって規約の開示を行うよう協議を行ってきました。
しかし、同社は、解約料の規定について日本ブライダル文化振興協会が作成したモデル約款と同一の期日区分及び解約料水準に改定した旨回答しましたが、一方で規約自体は結局開示しませんでした。
同社の規約の開示は受けられませんでしたので、規約をお持ちの方はご提供をお願いします。