改善事例 特定非営利活動法人たすけあい三河への申入れ
1 問題のある契約条項
高齢者の権利擁護、財産管理などを行うNPO法人であるたすけあい三河の「くらサポ安心生活支援契約書」の契約条項に、事業者が利用者の居住建物に立ち入った際の原状回復に関する条項や、契約の解除に関する条項、入会金・身元保証金などの預託金の不返還条項など、問題があると考えられる条項が定められていました。
特に、預託金の不返還条項は、一切返金がされないという内容であったことから、消費者契約法9条1項1号に違反するものと考えられ、改定を求める申し入れを行いました。
2 申入れ内容
(1)居住建物への立ち入りの際の原状回復(10条2項)
契約書の10条2項では、立ち入りによって原状回復の要請が生じた場合、費用は利用者が負担するものとされていました。
これは、事業者に過失があるような場合でも利用者の負担とする点が、民法(415条・709条)の定めと比較して利用者に不利益であると考えられ、消費者契約法8条1項1号・3号にも反すると考えられたことから、契約書10条2項を削除するよう申し入れました。
(2)契約の解除に関する条項(13条1項)
契約書13条1項では、解除について、契約当事者ではない立会人に解除権を認める点、解除権に3か月以上の予告期間が要求される点で、民法上の規定よりも消費者にとって不利益であると考えられ、消費者契約法10条に反すると考えられたことから、同条項の改定を求めました。
(3)預託金の不返還条項(13条5項)
契約書13条5項では、契約が解除された場合、入会金・身元保証金などの預託金は一切返還されないものとされていましたが、これは、平均的な損害を超える部分についても返金は認めないとしている点で、消費者契約法9条1項1号に違反しているものと考えられたため、同条項を削除するよう申し入れました。
3 申入れの結果
上記申入れについて、いずれも、申入れに沿う形で、条項の削除または改定がなされることになった旨の回答がなされました。