活動紹介

改善事例 まゆりな clinic 名古屋栄への申し入れ

1 施術者及び事業者への損害賠償責任の全部を免除させ、訴訟の権利を放棄させる同意書の条項

美容整形の施術に関して消費者から徴求する同意書に「施術者及びクリニックへの損害賠償請求や訴訟の権利を放棄いたします。」との条項が記載されていたので、以下のとおり、改善の申入れをしました。

 

2 申入れ内容

(1)消費者契約法第8条第1項第1号は、事業者の債務不履行により消費者に生じた損賠を賠償する責任の全部を免除する条項を無効と定め、また、同項3号は、消費者契約における事業者の債務の履行に際してされた当該事業者の不法行為により消費者に生じた損害を賠償する責任の全部を免除する条項を無効と定めています。ところが、まゆりな clinicの同意書上の条項では、クリニックへの損害賠償請求の権利を放棄する旨記載されており、事業者の債務不履行及び不法行為により消費者に生じた損害賠償責任の全部を免除させる内容になっていました。そこで、消費者契約法8条1項1号及び3号に違反し無効であることを理由に、上記条項を削除するよう申し入れました。

(2)消費者契約法10条は、法令中の公の秩序に関しない既定の適用による場合に比して消費者の権利を制限する条項で、信義則に反して消費者の利益を一方的に害するものは無効と定めています。そして、民法709条は、故意又は過失によって他人の権利又は法律上保護される利益を侵害した者は、これによって生じた損害を賠償する責任を負う旨定めています。ところが、まゆりな clinicの同意書上の条項では、施術者への損害賠償請求の権利を放棄する旨記載されています。これは、事業者がその優位な地位を利用して消費者に対し、クリニックの施術者の消費者に対する上記民法709条の責任を一切負わないものとするものであり、民法と比べ、著しく消費者に不利に変更するものであり、信義則に反し消費者の利益を一方的に害するもこととなります。そこで、消費者契約法10条に違反し無効であることを理由に、上記条項を削除するよう申し入れました。

(3)憲法32条は、国が国民に対し裁判を受ける権利を保障しているところ、この権利は、市民間においてもその権利、利益を確保する上で極めて重要な権利であり、私人間においても、特に事業者と消費者間という事業者が一方的優位な地位に立つ関係において事業者が消費者の訴訟の権利を一方的に放棄させる行為は、信義誠実の原則(民法第1条第2項)に反し消費者の利益を一方的に害するものです。ところが、まゆりな clinicの同意書上の条項では、施術者及びクリニックに対する訴訟の権利を放棄する旨記載されています。この条項は、法令中の公の秩序に関しない規定の適用による場合に比して消費者の権利を制限し又は消費者の義務を加重する消費者契約の条項であって、民法第1条2項に規定する基本原則に反して消費者の利益を一方的に害するものです。そこで、消費者契約法10条に違反し無効であることを理由に、上記条項を削除するよう申し入れました。

 

3 申入れの結果

同意書から上記条項が削除されました。

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改善事例 まゆりな_clinic_名古屋栄

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