1 医療機関のホームページも広告にあたります
かつては医療機関のホームページは医療広告規制の対象外でしたが、平成30年6月1日から、医療機関のホームページについても、看板やチラシと同様に規制の対象とされ、虚偽又は誇大等の表示が禁止されることになりました。
2 問題のあった広告
⑴ 同医院のホームページ上には、「『ストローマンインプラント』で名古屋市最多、年間600本の症例実績」という広告がありました。医療広告ガイドラインによると、「国内No.1」、「シェアNo.1」、「満足度No.1」といった広告は、仮に事実であったとしても、比較広告として禁止されています。
⑵ また、ホームページ上では、インプラント治療の症例実績として、術前・術後の写真が掲載されていました。いわゆるビフォーアフター写真等については、「個々の患者の状態等によって当然に治療等の結果は異なるものであることを踏まえ、誤認させるおそれがある写真等については医療に関する広告としては認められない」とされ、広告が原則として禁止されています。しかしながら、「術前又は術後の写真に通常必要とされる治療内容、費用等に関する事項や、治療等の主なリスク、副作用等に関する事項等の詳細な説明を付した場合」といった例外要件を満たした場合には、広告ができるようになります。そのため、私たちは医療広告ガイドラインに沿った広告とするよう改善を求めました。
⑶ さらに、同医院のホームページには、「予防歯科」、「審美歯科」というタイトルのページがありました。医療法においては、広告可能な診療科目が限定されており、予防歯科、審美歯科という名称は含まれていません。しかしながら、例外要件を満たした場合には広告可能とされているため、医療広告ガイドラインに沿った広告とするよう改善を求めました。
3 申入れの結果
⑴ 「年間700本以上の実績。(2018年度ストローマン社調べ、証明可能な実績です)」という表現に変更されました。
⑵ 治療内容や費用、リスク等が記載され、改善されました。
⑶ 「予防歯科」という記載は「検診・予防」に表現が変更され、「審美歯科」という記載は「審美治療」に表現が変更されました。
4 まとめ
医療に関する素人である私たちが、ホームページなどの広告を見て、実際のサービスの質について事前に判断をすることは非常に困難です。だからこそ医療広告は法律により規制されており、広告の受け手である私たちが不当に誘引されないようにと定められています。
ということは、写真や文言が印象的なホームページは、それによって私たちが不当に誘引される可能性があるため、法律で禁止されている医療広告にあたるかもしれません。そのようなホームページで広告を見ることも消費者被害の防止に役立つと思います。
なお、当会の申入れは、令和元年7月31日の消費者庁のニュースリリースにも掲載されました。