1 問題のある規約について
⑴ 利用規約第13条(サービスの中断と責任)
但し,閉鎖等により会員の会費支払義務その他の債務および責任が軽減されたり免除されることはなく,また,当社は会員に対して特別の補償または賠償を一切行いません。
⑵ 利用規約第15条(終了)
その他,会員の希望でサービス期間中に終了することを認めますが,一切の返金は行いません。
⑶ 利用規約第16条(キャンセル・返金)
入会手続き後は,当社の責めに帰すべき特別の理由のない限り,当サービスのキャンセル,返金をすることはできません。
⑷ 利用規約第24条(利用資格の取消し等)
この場合,当該会員は,既に生じた本サービス利用料等未払債務の弁済義務を負うものとし,当社が別途定める方法でこれを支払うものとします。利用資格の取消が行われた場合,既にお支払いいただいた諸費用は,理由の如何を問わず一切返還しません。
2 規約の問題点について
⑴ 消費者契約法9条1号違反
上記規約は,消費者が会員契約を解除した場合や会員契約が終了した場合に入会金等を返金しないと定めているので,消費者契約法9条1号の解除に伴う違約金等の定めにあたります。
上記規約は,解除事由や時期等にかかわらず一律に返金しないものであり,会社に生ずる平均的損害を超える違約金等を定めるものとして,消費者契約法9条1号により無効であることは明らかです。
⑵ 消費者契約法10条に違反すること
事業者と会員との契約関係は,事業者がLINEによるボディメイク等の指導を行う対価として会員が会費を支払うというものですので,民法上の準委任契約類似のものと考えられます。
したがって,民法の規定による場合,会員は,会員契約をいつでも任意に将来に向けて解除することができ,また,事業者が受任者の報酬請求権たる会費を請求できるのは,既履行の割合部分に限られるとともに(民法648条3項),解除の伴う損害賠償の請求も,不利な時期においてやむを得ない事由がないにもかかわらず会員が解除した場合に限られることになります(民法651条2項)。
この点,民法によると会員が契約を中途解約などした場合には未履行分の会費相当額の返還を請求できますが,上記規約はそれを制限していますので,消費者の契約解除権を一方的に制限するものであり,消費者契約法10条により無効です。
3 申入れの結果
株式会社Plezは,当会の申入れを受け,問題のあった規約を削除しました。
消費者の利益を害するような条項が用いられている場合には,お近くの消費生活センター等に相談に行ってみることをおすすめします。