活動紹介

1 軽過失全部免責条項

(1) デジタル庁が運営するマイナポータルの利用規約(以下「本規約」といいます。)には、マイナポータルの利用に当たり、「利用者本人又は第三者が被った損害について、デジタル庁の故意又は重過失によるものである場合を除き、デジタル庁は責任を負わない」との条項が規定されていました。

上記条項によれば、デジタル庁の軽過失の場合、債務不履行又は不法行為による損害賠償責任の全部が免除されてしまうため、上記条項は、消費者契約法8条1項1号及び3号により無効になります。そのため、当団体は、デジタル庁に対し、上記条項のうち「重過失」とあるのを「過失」と修正するか、同条を削除するよう申し入れました。

申入れの結果、上記条項は、「デジタル庁の過失(重過失を除く。)に起因して生じた損害について、利用者本人又は第三者に現実に生じた通常かつ直接の範囲内の損害に限り、デジタル庁は損害賠償責任を負う」という軽過失一部免責条項に改定されました。

(2) なお、事業者の軽過失の場合の損害賠償責任の一部免責条項は、消費者契約法8条1項2号及び4号により許容されていますが、免責により保護されない法益の内容及び免責の範囲によっては、任意規定の適用による場合に比べて消費者の権利を制限し、信義則に反して消費者の利益を一方的に害することになり、消費者契約法10条に該当し無効となることがあります。

 

2 専属的合意管轄条項

本規約には、マイナポータルの利用に関連してデジタル庁と利用者間に生ずるすべての訴訟について、東京地方裁判所が第一審の専属的合意管轄裁判所になるとの条項が規定されていました。

マイナポータルは、日本全国を対象としたサービスという性質上、日本全国の消費者との間で紛争が生じる可能性がありますが、上記条項によれば、多くの消費者は、その居住地の管轄裁判所等で提訴できなくなり、東京地方裁判所での提訴を強いられることになります。そのため、上記条項は消費者契約法10条により無効となりえますので、当団体は、デジタル庁に対し、「専属的」との文言の削除を申し入れました。

申入れの結果、管轄条項自体が削除され、消費者が提訴する際に、民事訴訟法で定める管轄裁判所を選択することができるようになりました。

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