改善事例 株式会社IDOM(ガリバー)に対する申入れ
1 問題のある条項
株式会社IDOM(ガリバー)が使用しているガリバー保証特別規約には、①ガリバーに修理を依頼するに際しては、車両内を空にして引き渡すこととし、車両内に残っていたものが滅失毀損したとしても、ガリバーに対して損害賠償請求をしない旨を定める条項(全部免責条項)、②契約者がガリバー保証を悪用したとガリバーが認めるときには、ガリバーが契約を解除することができるとする条項(解除権付与条項)、③ガリバーが、契約者がガリバー保証を悪用したと認めて、契約を解除した場合に、保険料の返還、その他一切の金銭の支払を行わない旨を定める条項(違約金条項)、④本保証契約に定める場合を除いては、契約者側からの解除を認めない旨を定める条項(解除権放棄条項)がありました。
2 各条項の問題点
(1)①について
車両内に残っていたものの所有権は、契約者にありますから、ガリバーが無断で処分したような場合には、損害賠償責任を負います。
本条項は、ガリバーの債務不履行又は債務の履行に際してされた不法行為により契約者に生じた損害を賠償する責任の全部を免除する条項ですので、消費者契約法8条1項1号及び3号に抵触し、無効です。
(2)②について
「悪用した」という文言が漠然不明確であることに加えて、該当するかどうかの判断権をガリバーが有していて、ガリバーのさじ加減で自由に解除できることになってしまうので、民法の規定に比べて解除の要件を緩和するものになっています。
これは、消費者の立場からすると、不利になりますので、本条項は、民法に比して、消費者の権利を制限し、信義則に反して消費者の利益を一方的に害するものであって、消費者契約法10条に抵触し、無効です。
(3)③について
本条項は、実質的に、解除に伴う損害賠償額の予定又は違約金を定める条項と解されます。
ひとえに契約者がガリバー保証を悪用した場合と言っても、悪用の内容によっては、ガリバーにほとんど損害が生じない場合もあり得ますので、一律に保険料の返還、その他一切の金銭の支払を行わないこととすると、ガリバーに生ずべき平均的な損害の額を超えることは明らかです。
平均的な損害の額を超える部分は、消費者契約法9条1項1号に抵触し、無効です。
(4)④について
事業者の債務不履行により生じた消費者の解除権を放棄させる条項に当たりますので、消費者契約法8条の2に抵触し、無効です。
3 申入れとその結果
(1)①について
消費者契約法8条1項1号及び3号に適合するように改めるよう申し入れたところ、車両内に残っていたものが滅失毀損したとしても、ガリバーに対して損害賠償請求をしないとする部分が削除されました。
(2)②について
削除するか、消費者契約法10条に適合するように改めるよう申し入れたところ、ガリバー保証を悪用したとガリバーが認めるときの部分が、保証修理の請求にあたって虚偽の申告をしたときと修正されました。
(3)③について
ガリバーに生ずべき平均的な損害の額を超える部分を返金するように規定を改めるよう申し入れたところ、本条項自体が削除されました。
(4)④について
本条項を削除するように申し入れたところ、削除されました。