改善事例 いびがわマラソン実行委員会事務局への申入れ
1 問題のある文言
いびがわマラソン実行委員会ホームページに掲載されていた申込規約には、①大会中の傷病発生時の応急手当につき、参加者はその方法や経過等について主催者の責任を問わないこと、②開催中の事故や傷病が発生した場合、主催者は保険の範囲内でしか補償せず、参加者は主催者の責任を免除し、損害賠償請求をしないこと、③主催者が地震・風水害等や安全確保が難しいと判断して大会を中止・縮小した場合も含め、主催者はいかなる場合においても参加料は返金しないこと、が定められていました。
2 申入れの内容
①については、実行委員会が競技者に対して安全配慮義務を負うところ、規約は、競技者に傷病が発生した場合に応急手当を行うものの、その方法、経過等について責任を負わないとされており、このような定めは消費者に生じた損害を賠償する責任の全部を免除し、事業者にその責任の有無を決定する権限を付与する条項であり、消費者契約法8条1項1号及び3号によって無効になるため、改定を申入れました。
②については、実行委員会の故意又は重過失によって生じた事故や傷病で競技者に損害が生じた場合でも、損害賠償義務を免れ、その補償の範囲を主催者が加入している保険の範囲内に限定していることや、実行委員会の軽過失による事故や傷病の場合における免責規定もその過失の内容次第で、消費者契約法8条1項2号・4号によって無効となり、保険の内容によっては消費者契約法10条により無効となるため、改定を申入れました。
③については、大会を中止した場合には、原則として、民法上の危険負担により実行委員会に参加料の返還義務があるにもかかわらず時期を問わずに一律に参加料を返還しない内容となっていること、また、実行委員会の都合で大会を中止した場合には債務不履行に基づく損害賠償義務があるにもかかわらず一切参加料を返還しない内容であり、消費者契約法10条により無効であるため、改定を申入れました。
3 申入れの結果
①については、「⑵ 大会開催中の傷病の発生に備えて、主催者は、救護医療体制を構築し、適宜適正な処置を取ります。」という内容に改訂されました。
②については、「⑸ 私は、大会開催中の事故、疾病、紛失等への補償は、主催者が加入した保険の範囲内であることを了承します。ただし、主催者に故意又は重大な過失がある場合には、この限りではありません。」となり、「⑹ 私は、大会開催中の事故、紛失、傷病等に関し、主催者の責任を免除し、損害賠償等の請求を行いません。」の定めは削除されました。
③については、「やむを得ず中止になった場合、中止を決定した時点で実際にかかった費用等を勘案して返金の有無、金額等を決定し、返金が生じた場合は、次の各号に相当する金券等を送付します。
①2026年6月30日までに大会中止が決定した場合 参加費の70%以上(中止を決定した時点で実際にかかった費用等を勘案して決定する。)
②2025年8月31日までに大会中止が決定した場合 参加費の30%
③2025年9月30日までに大会中止が決定した場合 参加費の10%
④2025年10月1日以降に大会中止が決定した場合 参加費は返金しない。」
との内容に改訂されました。
なお、以上の改善内容は、同事務局がすでに新旧対照表とともにホームページに掲載済みです。
以上